2001年11月号


Ajico「AJICO SHOW」
元ブランキー・ジェット・シティーの浅井健一とUAのプロジェクトの
ライブ・アルバムです。このライブ盤の聴き所は、やはりブランキーの曲
「ペピン」をUAが歌うところでしょう。ベンジーとは別のベクトルの
孤独感が感じ取れ、やはりUAも孤高の人なんだと改めて思いました。
この他のデュエット曲でも、UAとベンジーの美しいハーモニーが聴けます。
更に、UAの楽曲も原曲は打ち込みでの録音が多いので、
生音で聴き直すと別の味わいが生まれます。
スタンダードの名曲「Take Five」も、いかにもと言った感じです。
Ajicoの曲は、アルバムよりも深みが増し、4人の研ぎ澄まされた
感性のぶつかり合いが聴き取れます。特に「深緑」でのイントロの
セッションは鬼気迫るものがあります。そして、最後の曲「波動」での
エモーショナルなエンディングで感動的に幕を閉じます…
また、この強力な個性が集まることはあるのでしょうか?

Bird「flow」
デビュー以来、二人三脚でコンビを組んできた大沢伸一から離れ、
新たな一歩を歩みだした新曲です。印象的には、今までとはかわりませんが、
大沢伸一の曲特有のクセが無い分、ある意味自由な空間を感じ取れます
(大沢氏の楽曲は、あまりに独特なため、どうしても彼の個性が
前に出てしまいます。彼の曲を完璧に自分のものに出来たのはCharaと、
マンデイ満ちるくらいの様に、少なくとも私には思えます)。
カップリングの「むかえに来たら」は、あきらかに今までの彼女の作品とは
違っており、どちらかと言うと、この曲にこれからのヒントが隠されて
いるのかもしれません。声に、余裕の様なものも感じ取れます。

Bonnie Pink「眠れない夜」
今年に入ってからの3連続シングルの第3弾。彼女がアルバム発売前に
シングルをこれだけリリースするのは今までなかったことです。
3作連続日本語詩というのも始めてではないでしょうか?それだけに、
何か意気込みのようなものがあるようですね。今年最初のシングル
「Take Me In」もそうでしたが、曲の感じがいい意味で日本人っぽく
なってきました。今までは、洋楽至上主義的なところも見受けられましたので
(それが、彼女の魅力でもあるのですが)。歌い方にも、艶っぽいところが
出てきて、新たな魅力が加わったようです。カップリングの「That's Just
What You Are」は、元ティル・チューズデイのエイミー・マンの曲です。

Chara「MADRIGAL」
相変わらずのチャラ・ワールド炸裂といった感じで、もはや彼女の
ことを語ることはないかとも思いますが、それでは紹介になりませんので(笑)
今作は、プロデューサーの多くを元スマパンのJames Ihaと、Andy Chaseが
やっており、全体にはギター色の強い仕上がりになってます。
El-Maro・Foeの會田"アイゴン"茂一の参加も、
このアルバムの印象を決定付けるのに一役買っているようです。
切ない歌詞も多いですが、「レモンキャンディー」を聴くと、
彼女が今、とても幸せなのがよくわかります。

Cocco「ベスト+裏ベスト+見発表曲集」
アルバムタイトルからして、すでに彼女が音楽活動に興味が無いのが
伺えます…すでに、マネージメント、レコード会社とも別れを
告げて、沖縄でなににも縛られない自由な生活をしているのでしょう。
裏ベストは完全ではなく、何故か「Rainbow」が省かれています。
ビデオクリップ集には入ってますが。未発表曲も、「荊」「もくまおう」は
次回のためにレコーディングされたもののようですが、他の曲は
カップリング用などに軽く作った感じの曲のようですね。
それだけだけに、肩の力が抜けた彼女としては暖かい曲に聞こえます。
初回のみの限定ですが、「ひよこぶたのテーマPART2」は
かわいらしくって今回一番の大ヒットでした(笑)

Eastern Youth「感受性応答セヨ」
極東最前線を率いる、日本爆音系の大将的バンドの最新作。
どこか4畳半フォークな歌詞とメロディーはそのままに、今回は怒り
だけではなく、悲しみと喜びも叩き付けるように歌にのせています。
ヴォーカル吉野寿の、その説教くさそうな風貌も相まって、歌詞の
説得力は更に強力な牽引力を得たようです。『命かけて笑えるなら/
素晴らしい世界/命かけて泣けるなら/素晴らしい世界』(素晴らしい世界)
ただ、現状を憂いるだけではなく、前を見て進もうとする姿勢に共感します。

小島麻由美「My name is Blue」
歌詞的には、林檎姫を凌駕する怨念系ソングライターの4枚目のアルバムです。
今回は、あまり作り込むといったことをせず、自然な成り行きにまかせて
アルバム製作にいそしんだ模様。その答えは、復活第1弾シングル
「わいわいわい」に出てきます。肩の抜け切った歌詞、軽快な音、あくまでも
マイペースにひたすら我が道を行ってます(笑)歌は、お世辞にも上手いと
言えませんが、彼女の才能は、歌詞、曲、編曲、プロデュース能力といった
製作に長けており、それを表現できるのも、やはり彼女しか居ないでしょう。
今回残念だったのは、シングル「甘い恋」のアルバム収録にあたって、
ホーンセクションを大幅にカットしてしまったところでしょう。全体的に
地味なアルバムですので、この曲まで地味にしてしまうと、
いまいち全体像が浮かび上がってこないように思えます。

畠山美由紀「輝く月が照らす夜」
Port of Nortsのヴォーカリスト畠山美由紀のソロ&メジャーデビューシングル。
どういった経緯でこの企画が立ち上がったのかは知りませんが、遅すぎる
メジャーデビューとも思われます。透明感溢れる歌声に、今度は表情も加わって、
どことなく異国情緒豊かな感じから、(いい意味で)POPシーンに馴染む曲に
仕上がっております。実際Port〜の頃は、ここまで感情を込めてなかったように
思いますので、これはソロでの新たな挑戦なのでしょうね。
3曲目「A Dream Gose Forever」はトッド・ラングレンの曲。

松崎ナオ「太陽」
『あなたを求め/やっとここまで来た/だけど 今ボクは/ボクを探してる』
『それでも太陽を/まっすぐに見つめてみせる』…痛いです、彼女の歌詞は
いつも痛いです。いつまでも自分を探し、いつまでも相手を求め続ける。
それは、彼女の歌詞に一貫していえることで、永遠の命題となっているかのようです。
2曲目「結婚式のうた」にもそれは出てきてます。『空を飛んでみたい/
一人じゃどうしても飛べない』『二人の翼を合わせて/飛んで行ける気がした』
あなたがあってこそのボク。依存しきることで保てる自我。
ある意味、現代に生きる女の子の潜在意識のようです。
ちなみに「結婚式のうた」のプロデュースはまりんこと砂原良徳です。

奥田民生「
いつもながら、マイペースというか、なんというか…まず、
タイトル曲にはまいりました…何が?っていうと曲名が逆さまに
なってることです(苦笑)何か、意味があるのでしょうか?( ̄ー ̄;
まあ、それはともかく(笑)まったくシングルっぽくない曲ですね。
3曲が3曲とも(爆)ただ、タイトル曲はのんびりしていい曲です。
どうやらラブソングのようですが、ゆったりとした気持ちになれますね。
なんか、含蓄のありそうで無さそうでありそうな歌詞は相変わらずです。
ちなみに、3曲ともアンディー・スターマーとの競作です。

Sherbets「KAMISORI SONG」
ベンジー、ブッちぎれてます!(笑)かなり意味不明な歌詞ですが、
インパクトは凄いですね。曲はハイテンポの疾走ナンバーですが、
とにかく、歌詞の迫力が凄い。『女が現れ/俺にこう言ったよ/
「メリーさんの羊」を/歌ってくれれば/どこまででも/あんたに着いて行くわと』
ベンジーの観念的な歌詞の中でも、最たるものではないかと思います。
尚、この曲と前後して出されたシングル3部作からは、ニューアルバム
には1曲も入らないそうです。

スケボーキング「KILLING FIELD」
次世代HIPHOPロックバンド"S.B.K"の2枚目のメジャーアルバム。
KJとのコラボレーション「EPISODE3」は、いつもながら、結束の強さを
感じられます。小田和正の「ラブストーリーは突然に」のサンプリング
「TOKIO LV」では、爽やかな曲調がミスマッチでいいですね(笑)
同ネタとしては、Key of Lifeの「Love Story」がありますので、聴き比べて
みるのも面白いかもしれません。まったくのパーティーHIPHOPではなく、
あくまでも今を切り取ってリリックにしており、ストリート感覚なヤツらです。

Smorgas「INTERACTIVA」
ミクスチャー界、最新鋭バンドのメジャー1stアルバム。
スーパー・ハイテンションで突っ走るMC、来門。コーネリアスにも参加
した実力派ドラマー、あきらゆうこ。テクニカルギター、SENSHO1500。
正確なリズムベース、川辺真。この強烈な個性を率いる、アイニ。
5人の怒涛の快音がとても気持ちいい!PV曲「惑星探索団」では、
キャッチーながらも、エッジのきいた演奏と、不可思議で高尚さを感じる
リリックで、このバンドをよく表しています。16曲目「Over The Rainbow」は、
オズの魔法使いで有名な名曲ですが、いい感じに壊してます(笑)

Super Junky Monkey「SONGS ARE OUR UNIVERSE」
日本ミクスチャー界の土台を作った伝説的なバンドSJMの、
未発表、未収録曲4曲を含む初のベストアルバム。後、どれほどの
音源が眠っているかはわかりませんが、MUTSUMIがその声を聴かせて
くれることはありません…彼女がこの世を去ってから2年8ヶ月
たちましたが、未だにSJMを超えるバンドは生まれていません。
セレクトは、やはり「SCREW UP」からが多いようですね。メンバーが、
MUTSUMIへの思いを込めて選んだ全16曲です。

Tommy February6「EVERYDAY AT THE BUS STOP」
the briliant greenのヴォーカルTommyこと川瀬智子のソロプロジェクト。
元々がSTRAWBERRY SWITCHBLADEの「SINCE YESTERDAY」を
ブリグリでカバーしようとしたところ、あまりにもバンドの音と違うので
立ち上げたということもあり、まったくロックではありません(笑)Tommyの
自由奔放なヴォーカルはバックの音を選ばないようです。
タイトル曲を含め、3曲とも80年代にタイムトリップさせてくれます。


my foolish dream

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